2024年のカルティエ新作、買えないけど「トーチュ」のモノプッシャークロノは傑作of傑作だ!
- 2024/11/09 10:29
- カテゴリー:スーパーコピー時計, カルティエスーパーコピー
相変わらず多くの新作をリリースするカルティエ。2024年は大作こそなかったものの、実にけしからんモデルを見つけた。今や伝説的な存在となった「トーチュ ワンプッシュクロノグラフ」の新作だ。過去作の焼き直しと思いきや、ケースもムーブメントも別物。これ、限定品なのが実に惜しい傑作だ。筆者が金持ちなら即買う。
2024年、「トーチュ」のワンプッシュクロノグラフが復刻!
今やカルティエの中でも屈指のコレクターズアイテムとなったのが、CPCPこと、コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリだ。過去の傑作を再現したこのコレクションは、当時の不人気が信じられないほどの人気を集めている。そんな市場を意識したかどうかは知らないが、カルティエはコレクション・プリヴェと称して、過去のモデルをリバイバル。毎年発表する度に、世界的な熱狂を生むようになった。筆者の周りでも、プリヴェを狙う時計好きは少なくない。
そんなプリヴェに新しく加わったのが、「トーチュ」のワンプッシュクロノグラフだった。ちなみにカルティエは、かつてのCPCPでもこのモデルを復刻していた。筆者は初めてこのモデルを見たとき、どうせCPCPの焼き直しだろうと思っていた。しかしあに図らんや、新しいトーチュは、ケースはもちろん、ムーブメントも別物だったのである。まさかカルティエが、せいぜい200本の限定モデルに、一からムーブメントを起こすとは予想もしていなかった。もちろん今のカルティエは優れたマニュファクチュールだ。しかし、筆者のようなマニアを狂喜させる、凝ったムーブメントを作るメーカーではない、と筆者は思っていた。オタクを傲然と無視するからこそ、そこにシビれる! あこがれるゥ! だったのである。
カルティエ「プリヴェ トーチュ モノプッシャークロノグラフ」
手巻き(Cal.1928 MC)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約44時間。Ptケース(縦43.7×横34.8mm、厚さ10.2mm)。日常生活防水。世界限定200本。897万6000円(税込み)。2024年10月発売予定。
手巻き(Cal.1928 MC)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約44時間。18KYGケース(縦43.7×横34.8mm、厚さ10.2mm)。日常生活防水。世界限定200本。778万8000円(税込み)。2024年10月発売予定。
マニア狂喜の手巻きムーブメントCal.1928 MC
CPCPのトーチュ ワンプッシュクロノグラフが押しも押されぬコレクターズアイテムとなった理由は、間違いなく搭載するムーブメントにあった。ムーブメントを設計したのは旧THA。ヴィアネイ・ハルターやフランソワ・ポール・ジュルヌなどが起こしたムーブメントメーカーだ。かつてそのジュルヌは、筆者にこう語った。「THAのワンプッシュクロノグラフを設計したのは私だよ。ナルダンやカルティエが使ったはずだ」。古典的な設計をとりつつも、ジュルヌはクラッチ機構にコンパクトなスイングピニオンを採用。ムーブメントのサイズを詰めることに成功した。後にこのムーブメントは、ジュルヌの起こしたムーブメントメーカーであるTIMに買われ、さらにシチズン傘下のラ・ジュー・ペレのものになった。2023年に、ラ・ジュー・ペレの兄弟会社であるアンジェラスが、旧THA設計のクロノグラフを採用できたはずだ。
しかし、2024年のトーチュは、旧THAではない、全く新しい自社製ムーブメントを搭載していた。カルティエの関係者は、そもそもムーブメントを薄くするのが理由だったと語る。そして旧THAの傑作ムーブメントを使わなかったのは、「トーチュのケースに合わせたかったから」。香箱とテンプの位置をずらし、クロノグラフ機構を固めることで、確かに新しいクロノグラフムーブメントは明らかに薄い。またクロノグラフのレバー類も、現行のクロノグラフとは思えぬほど薄く抜かれた。もっとも、このムーブメントで見るべきは、結果としてもたらされたレイアウトだ。レバーや部品の配置は、驚くほどシンメトリーに配置されており、つまりカルティエは、ついに「マニアを狂喜させる、凝ったムーブメント」を完成させたわけだ。緩急針がトリオビス風な点だけは惜しいが、カルティエはやはり整備性を重視したのだろう。
ちなみにカルティエは、このムーブメントの開発に当たって、外部の協力を得たらしい。名前はル・セルクル・ドルロジェ。各社の「鳴り物」や、近年はビバー銘の複雑時計、そしてルイ・ヴィトン「タンブール」の自動巻きムーブメントなどに携わってきたメーカーである。もっとも、ル・セルクル・ドルロジェがいかに優秀とは言え、ここまで審美的なムーブメントを作れるとは思えない。カルティエが相当口を突っ込んだんじゃないだろうか。
個人的な推測はさておき、新しいトーチュは、前作同様、ムーブメントでも買いのモデルとなった。残念ながらプッシュボタンを押す機会には恵まれなかったが、細い規制バネなどを見るに、その感触は軽快であるに違いない。少なくとも、重くて剛直な感触を強調する今のクロノグラフとは全く別物、と言えるだろう。名前は失念したが、海外のジャーナリストが「これはカルティエのダトグラフ」と称したのも納得だ。
どこから見ても素敵な外装
外装に関してはいうことがない。良質な自社製のケースは、ファーストモデルのサイズをほぼ忠実に再現するだけでなく、3気圧防水もある。また、文字盤上の黒いローマ数字も、あえてブラックのペイントではなく、ブラックのデカルクで再現するという凝りようだ。黒いローマ数字が、既存のモデルと違って見える、そしてクラシカルな印象を与える理由である。カルティエお得意の厚盛りインデックスなら、このモデルのかそけき印象はずいぶん損なわれたに違いない。
見た目よし、中身良しのトーチュ「モノプッシャー クロノグラフ」。文字盤がクラシカルに見えるのは、文字盤をグレイン仕上げに改め、印字の厚みを抑えたためだ。
CPCPの流れを汲みつつも、トーチュのケースは別物になった。歪みを抑えたケースサイドに注目。