エントリー

ヴァシュロン・コンスタンタンは本日、ダブルでニュースを発した。

新しい時計だけでなく、オーヴァーシーズコレクションの「One of Not Many(少数精鋭の一員)」キャンペーンの一環として、新しいアンバサダーにコーリー・リチャーズを迎える。まずは時計から紹介する。

同社のオーヴァーシーズ 35mmがラインナップに加わったのは比較的最近で(今年のWatches & Wondersで発表)、このオーヴァーシーズ第3世代のケースシェイプを小型化した2つのバリエーションを、スティールとピンクゴールド、ダイヤモンドありとなしで、すでに発表しており、これらのモデルはブルーダイヤルだ(ピンクダイヤルにダイヤモンドがセットされたスティールを除く)。そして今回、ゴールドダイヤルが非常にマッチしたピンクゴールド製のオーヴァーシーズ 35mm(さらに、ベゼルには90個のダイヤモンドがあしらわれている)という、クラシカルで印象的な新モデルが発表された。

本機は、厚さ9.33mmの18KPG製ブレスレットに加えて、トーン・オン・トーンのステッチが施されたホワイトのカーフスキンストラップが付属し、ヴァシュロン製のインターチェンジャブルストラップシステムで簡単に交換できる。内部にはCal.1088/1が搭載。時、分、秒、日付を表示し、パワーリザーブは約40時間である。
もうひとつのニュースは、アメリカ人アーティストのザリア・フォーマンが、ミュージシャンのベンジャミン・クレメンタイン、デザイナーのオラ・イト、写真家で探検家のコーリー・リチャーズ、オートクチュールデザイナーのイーキン・インとともに、同社の「One Of Not Many」キャンペーンのアンバサダーとして参加することを発表したこと。ニューヨークを拠点に活動するフォーマンは、カメラを片手に遠隔地を訪れ、変わりゆく風景を記録している。そして彼女はスタジオに戻り、観察した風景やディテールを大判の紙にパステルで再現する。これらの作品は世界中の美術館やギャラリーで展示されている。

フォーマンの作品は、この世界の美しさだけでなく、その脆さについても描かれる。彼女はバンクシーの「ディズマランド」に参加し、退廃的な行き過ぎた社会についての陰鬱な「遊園地」を表現した。南極のナショナル・ジオグラフィック・エクスプローラー号ではアーティスト・イン・レジデンスを務め、リンドブラッド・エクスペディション社のナショナル・ジオグラフィック・エンデュランス号とナショナル・ジオグラフィック・レゾリューション号では、極地アートの初の常設展示を担当した。

また、NASAの「Operation IceBridge」(南極、グリーンランド、カナダ北極上空での空中科学ミッション)にも何度か参加し、過去10年間の地球の氷の変化を地図化することに貢献した。時計は、私たちを取り巻く深刻な問題から目をくらます大きな手段になり得るが、我々を取り巻く問題が完全に消えるわけではないことを思い知らされる。

フォーマンの作品は信じられないほど見事で、今週、アイスランドで彼女がどこからインスピレーションを得ているのか、夜に出るのが楽しみだ。時計に関しては、小売価格は5万8500ドル(日本円価格は未定)となっている。
我々の考え
今年、ヴァシュロンからはクールで大胆なモデルがいくつか発表されたが、オーヴァーシーズが37.5mmから35mmになったことで、どれほどの違いがあるのかは、少なくとも私にはすぐにはわからなかった。実際につけてみるまでは、である。

人々は、時計ジャーナリストや時計メーカーの役員たちが協力して、望まない人々にまで小さなケースサイズを押し付ける秘密の組織があると思っているようだ。もしそうだとしたら、私はひどい仕事をしているか、メールでペイチェックを受け取っていないかのどちらかだ。私は32mmまでの時計を身につけることがよくある。ヴァシュロン・コンスタンタンは、意図的に "ジェンダー "を設けないようにしており、小さな時計を身につけたくなければ、そうする必要はないのだ。それなのに、数ヵ月前に初めて34.5mm(非ジェムセット・バージョンのサイズ)を見たとき、その装着感のよさにかなり驚いた。

ベゼルに90個のダイヤモンドがあしらわれた35mmのPG製スポーツウォッチのターゲットには、身長約2mの私は、マーケティング上の決定とは関係なく、おそらく向いていないことは認めよう。しかし、もしそれがヴィンテージの36mmデイデイトだったら、私は目を疑わないかもしれない。今日この後、実際にこの時計を見たときに、その理由を紐解いてみようと思う。結局、もしかしたら私のなかには、ブランド志向があるのかもしれない。

基本情報
ブランド: ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)
モデル名: オーヴァーシーズ・オートマチック(Overseas Self-Winding)
型番: 4605V/200R-B968

直径: 35mm
厚み: 9.33mm
ケース素材: 18KPG、ベゼルに90個のラウンドカットダイヤモンド
文字盤色: ゴールド、透明ラッカー、サンバースト・サテン仕上げのベースとベルベット仕上げの外周ミニッツトラック
インデックス: ブルーのスーパールミノバ®で強調された、18KPG製のインデックスと時分針
防水性: 150m
ストラップ/ブレスレット: 18KPG製(半分がマルタ十字のポリッシュ仕上げとサテン仕上げのリンク)、18KPG製両開き式フォールディングクラスプ(プッシュピースとコンフォートアジャストシステム付き): トーン・オン・トーンのステッチを施した、ホワイトラバーが裏貼りされたホワイトカーフレザーストラップも付属(交換可能な18KPG製バックルが付き)。

ムーブメント情報
キャリバー:Cal.1088/1
機能: 時・分・秒・日付表示
直径: 20.8mm
厚み: 3.83 mm
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26


 

ブランパンはこの記念のために新型フィフティ ファゾムスを発表。

ブランパンから、フィフティ ファゾムス70周年記念 Act 3が登場。

今週末、フランスのカンヌにて、ブランパンがダイバーズウォッチのフィフティ ファゾムス誕生70周年 “Act 3”を祝った。Act 1、Act 2と同様、ブランパンはこの記念のために新型フィフティ ファゾムスを発表。ブランパンはAct 3にて、オリジナルの“MIL-SPEC” フィフティ ファゾムスをヴィンテージ風にアレンジした。これがブロンズゴールドで仕上げられたフィフティ ファゾムス70周年記念 Act 3である。

 この新しい限定モデルのリファレンスナンバーは5901-5630-NANA。サテン仕上げの9Kブロンズゴールドケース仕様で、直径41.3mm、厚さ13.3mmで展開している(ラグからラグの長さは不明だが、今調べているところだ)。ブラックダイヤルにグレーのモイスチャーインジケーターを備えたAct 3は、ブラックセラミックのベゼルインサート、全体にヴィンテージ風のスーパールミノバ、そしてブランパン製の1154.P2が鑑賞できるシースルーバックを装備。
 2万1600振動/時で時を刻み、約100時間のパワーリザーブを誇る1154は、基本的に1151の日付なしバージョンの自動巻きムーブメントだ。このムーブメントは、もうひとつのかなりハンサムな限定版フィフティ ファゾムスと同じものである。

 フィフティ ファゾムス70周年記念 Act 3は555本の限定生産で、小売価格442万2000円(税込)で提供される。

我々の考え
どうだろう、ゴージャスではないだろうか。スティールでできた非常によく似た時計を求めて期待していたかもしれないが、このデザインに異議を唱えるのは難しく、特に記念日をテーマにした限定版にはふさわしい。それにもしSS製が(量産モデルではなく)限定版になる可能性があるのなら、僕はブロンズゴールドの選択肢のほうが好ましい。

 同様に、ブランパンのデザイナーがノンデイトを40mmに近いサイズで選択したことも喜ばしい。今回の41.3mmというサイズは、オリジナルのMIL-SPEC フィフティ ファゾムスと同じサイズであり、過去の多くのフィフティ ファゾムスに見られた43mm以上のサイズではない。ナイロン製のNATOストラップにマッチした、ブロンズゴールドとブラックのコントラスト、そしてホワイト/グレーの湿度インジケーターのやや控えめな配色が気に入っている。文字盤のテキストを最小限に抑えつつ、ベゼルの数字には大振りなフォントが使われているため、フィフティ ファゾムス以外のものと混同することはないだろう。さらにブロンズゴールドのおかげで特別なものとなっていて、これも記念のLEとしてふさわしい。

 ブランパンの70周年記念モデルをご存じない方のために説明すると、Act 1は42.3mm径のSSでできた210本限定のフィフティ ファゾムス、Act 2は47mm径の非常にクールなフィフティ ファゾムス テック ゴンベッサで限定ではなかった。そしてAct 3でブランパンはフィフティ ファゾムスのMIL-SPECの歴史から直接インスピレーションを得ている。これによりモダンで非常にツール的なものから正真正銘のオールドスクールまで、ブランパンのダイバーズウォッチデザインの幅広さを示す3部作が完成したのだ。
 10周年記念に登場した錫がどうなってたかなど(自慢するほどでもないが)、みんなが知っているようなアニバーサリーモデルをGoogleで検索した。結局、70周年にふさわしい金属はなかったので、これがブロンズゴールドであるべきだということに誰もが賛同できるだろう。


基本情報
ブランド: ブランパン(Blancpain)
モデル名: フィフティ ファゾムス70周年記念 Act 3(Fifty Fathoms 70th Anniversary Act 3)
型番: 5901-5630-NANA

直径: 41.3mm
厚さ: 13.3mm
ケース素材: ブロンズゴールド(9K、サテン仕上げ)
文字盤: ブラック
インデックス: ペイント
夜光: あり。ヴィンテージ風スーパールミノバ
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: ブラック/ゴールドのNATOスタイルストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: 1154.P2
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 27.4mm
厚さ: 3.55mm
パワーリザーブ: 約100時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 28

価格 & 発売時期
価格: 442万2000円(税込)

これはブランドを代表するアイコニックなモデルの誕生50周年を祝した限定モデルです。

ジラール・ペルゴ オリジナルへ回帰したロレアート フィフティが新登場。

1791年創業という歴史を持つブランドにとって、50年という年月はそれほど長く感じられないかもしれません。ですが、ジラール・ペルゴとその最も人気のあるロレアートにとっては、この節目は祝うに値します。1975年に登場したロレアート(下写真参照)は、クォーツムーブメントを搭載し、1972年のロイヤル オークと1976年のノーチラスのあいだに位置するブレスレット一体型スポーツウォッチのトレンドの真っ只中で発表されました。そして今年、誕生から半世紀を記念して、ジラール・ペルゴ ロレアート フィフティが登場し、そのデザインは再び原点へと回帰しています。

1975年に登場したオリジナルのロレアート。
ロレアート フィフティのケースは、直径39mm、厚さ9.8mm。特徴的なトノー型のフォルムに、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが交互に施された八角形ベゼルを備えています。素材はステンレススティールと3Nイエローゴールドのコンビ仕様で、1975年に登場したオリジナルのバイカラーモデルを想起させます。防水性能は堅牢な150mを誇り、サンレイ仕上げのグレーのクル・ド・パリダイヤルが、ゴールドトーンのインデックス/針と美しく調和しています。

内部には、新たに開発された自動巻きのCal.GP4800を搭載しており、サファイアクリスタルのシースルーバックからその姿を眺めることができます。シリコン脱進機と可変慣性テンプを備え、パワーリザーブは約55時間です。さらに本作は、これまでトゥールビヨンモデルのために用いられてきた、ブランドを象徴するスリーブリッジ構造を初めて“シンプル(時・分・秒・日付)”な機構のムーブメントに取り入れました。

一体型ブレスレットは、SS製の“H”リンクとYGのセンターリンクを組み合わせ、先細りのシルエットに仕上げられています。GPロゴが刻まれたトリプルフォールディングクラスプには、実用的な4mmのマイクロアジャスト機構が備わっています。

ロレアート フィフティの価格は375万1000円(税込)で、世界限定200本。2025年10月より、ジラール・ペルゴ正規販売店にて発売予定です。

我々の考え
発売に先立ち、数ヵ月前にこのモデルを目にしましたが、今年初めに登場した42mmのインフィニットグレーと比べても、ひときわ際立って見えました。これまでもロレアートの着け心地はずっと気に入っていましたが、特にこのモデルはしっくりきます。薄型ケースによる装着感のよさに加え、39mmというサイズ感が、小さめの手首(私のような)にはまさに絶妙なのです。またツートーンのブレスレットにも驚かされました。ふだん私は異素材ミックスの時計を好まないのですが、この組み合わせは実にうまく機能しており、派手さを抑えながらも温かみを添えています。新ムーブメントの仕上げと構造も、この価格帯では非常に優れた価値を感じさせます。

ひとつだけ意見を挙げるとすれば、ジラール・ペルゴにはグレー以外のダイヤルカラーを試してほしかったという点です。特に、今年初めにインフィニットグレーが登場したばかりということもあり、なおさらそう感じます。
それでもロレアート フィフティは、このコレクションが今も愛され続ける理由を思い出させてくれます。彼らはマニュファクチュールであり、バランスの取れたプロポーションを備え、ブレスレット一体型スポーツウォッチの世界に足を踏み入れたい人にとって、間違いなく有力な選択肢となるでしょう。

基本情報
ブランド: ジラール・ペルゴ(Girard-Perregaux)
モデル名: ロレアート フィフティ(Laureato FIFTY)
型番: 81008-63-3412-1CM

直径: 39mm
厚さ: 9.8mm
ケース素材: ステンレススティールおよび3Nイエローゴールド
文字盤: サンレイ仕上げのグレー(クル・ド・パリ装飾)
インデックス: 3Nゴールドプレートのバトン型
夜光: あり、ホワイト夜光
防水性能: 150m
ストラップ/ブレスレット: SSおよび3NYG製一体型ブレスレット、トリプルフォールディングクラスプ、4mmファインアジャスト機構付き


ムーブメント情報
キャリバー: GP4800
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示
直径: 25.6mm
厚さ: 4.28mm
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 19
クロノメーター: なし

価格&発売時期
価格: 375万1000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定200本

時計愛好家やコレクターにとって、書籍は今でもなくてはならない情報源である。

デジタル化が進んだ現在でもコレクターや研究者たちが手間を惜しまずに参照すべきレベルの資料となるような美しい印刷本を出版し、時にはそれ自体がコレクションに値するような本を出していることは、私のささやかなマニア心をほっと温めてくれる。

 ここ数カ月のあいだに、特集を組んでみんなの読書リストに加えたいと思うようなヴィンテージウォッチに焦点を当てた新しい本をいくつか手に入れた。そのうちの2、3冊は必読書ともいえるもので、『Moonwatch Only』や『Patek Philippe Steel Watches』、あるいは私のお気に入りのオークションカタログ(1989年の『The Art of Patek Philippe』や1996年の『The Magical Art of Cartier』)などに並ぶものである。

『The Dial』ヘルムート・クロット博士(Dr. Helmut Crott)著
the dial english helmut crott
 ヴィンテージウォッチコレクターにとって、『The Dial: The Face of The Wristwatch In The 20th Century』は本棚に欠かせない1冊だ。医学博士から時計コレクターに転身し、ついには腕時計専門の最初のオークショナーのひとりにもなったヘルムート・クロット博士が執筆している。彼の数十年にわたる経験は、392ページに及ぶ参考資料と美しい画像で構成された『The Dial』の執筆に結実した。時計の新作に関する発表は一旦置いておいて、2021年にフランス語で発表された『The Dial』の英語版リリースは、私にとって2023年におけるもっともエキサイティングな発表のひとつだった。

the dial helmut crott
『The Dial』は全3章で構成されている。第1章では、おそらく20世紀のほとんどにおいてもっとも重要かつ成功したダイヤルメーカーであり、1932年にスターン一族がパテック・フィリップを買収するほどの功績を挙げたスターン・フレール(Stern Frères)社の物語が語られる。第2章は、ダイヤルを作るために必要なさまざまな工程を包括的に解説。ギヨシェ彫り、ラッカー仕上げ、インデックスの貼り付けなどがどのように行われるのか疑問に思ったことがある人は、この章で学ぶことができる。最後の章では20世紀に作られた特にコレクターの多い時計のダイヤルについて詳しく解説している。例を挙げるなら、ロレックスのデイトナ、パテックのカラトラバ、オーデマ ピゲのカレンダーなど……、すべてがここに載っている。

 この本を手にするのが楽しみで、出費はまったく気にならなかった。HODINKEE Shopに直行し、自腹を切って購入したのだ(従業員割引が役に立ったことは認める)。

『The Dial』全体を通して、技術、工程、ダイヤルの鮮明な画像が600枚以上掲載されている。ハードカバーの本も素敵だが、これはコーヒーテーブルブックよりずっといい。

『The Dial』をHODINKEE Shopで探す(400ドル、日本円で約6万円)。

『パテック フィリップ・ミュージアムの宝物(原題:Treasures From The Patek Philippe Museum)』ピーター・フリース博士(Dr. Peter Friess)著
treasures from the patek philippe museum friess
 パテック フィリップ・ミュージアムに行くことができず、パテック フィリップ・ミュージアムの全カタログに700ドル(日本円で約10万4000円)も払いたくないという人には、この新しい略式版が手堅い選択肢となるだろう。パテック フィリップが所蔵する225点の時計が、それぞれ100ページずつに及ぶ豊富な図版とともにスリップケースに収められている。第1巻ではミュージアムのアンティークコレクションを取り上げ、パテック フィリップ以外の歴史的に重要な時計や腕時計を紹介している。第2巻ではパテック フィリップが所有する現代までのタイムピースについて特集している。

treasures from the patek philippe museum friess book
 ベンが10年前にパテック フィリップ・ミュージアムを訪れた際にも説明したように、このミュージアムは世界でもっとも見応えのある時計コレクションであり、パテックの自社製品だけにとどまらない(たとえば、Collectabilityによるフリース博士へのインタビューを読めば、ミュージアム所蔵のエナメルコレクションの重要性を理解できるだろう)。第1巻ではホイヘンス(Huygens)、ベルトゥー(Berthoud)、ブレゲ(Breguet)をはじめとする数々のタイムピースを取り上げており、年代を超えた計時の旅にあなたを連れ出してくれる。第2巻では、約200年にわたるパテックの歴史のなかでもっとも重要な複雑機構とデザインについて紹介している。たった50スイスフラン(日本円で約8150円)で、この2冊の冊子を超えるものを探すのは難しい。唯一の問題は、本物を見に出かけたくなってしまうことだ。

『パテック フィリップ・ミュージアムの宝物』は、パテック フィリップから直接購入できるほか、一部の小売店でも購入可能(50スイスフラン、日本円で約8150円)。

ジャガー ルクルト『コレクタブルズ(原題:The Collectibles)』
jaeger-lecoultre the collectibles book
 今年、ジャガー ルクルトは同社のもっとも重要なヴィンテージウォッチを発掘、改修、販売するプログラムであるコレクタブルズ(The Collectibles)を開始した。その後、ブランドはヴィンテージウォッチのカプセルコレクションを2度発表した。本件については、こちらとこちらで紹介している。

jaeger-lecoultre geophysic
 これらの時計とともに、JLCは同名の本も出版した。この本は1925年から1974年までのメーカーの黄金期をカバーし、そのなかでも特に重要な17のタイムピースを記録している。この書籍には、製造番号やキャリバー情報など、コレクターが購入する時計を理解するうえで重要な参考資料や、各モデルの歴史的背景が記載されている。それらを追うなかで、レベルソ、ジオフィジック、フューチャーマティックなどについての知識を深めることもできるだろう。また、本書は美しい図版が557ページにわたって掲載されたハードカバーの大作でもある。

『コレクタブルズ』はミスターポーターを通じてオンラインで購入可能(265ドル、日本円で約4万円)。

『Vintage Military Wristwatches』ザフ・バシャ(Zaf Basha)著
vintage military wristwatches zaf basha
 このリストのほかの本とは異なり、『Vintage Military Watches』はコレクターによるコレクターのための参考書である。600ページにわたり、300点近いミリタリーウォッチが、ダイヤル、ケース、ムーブメントの詳細な写真とともに紹介されている。また、製造番号や生産期間、ダイヤルとキャリバーの詳細情報も記載されている。本格的なヴィンテージのミリタリーウォッチのディーラーやコレクターにとって、本著はこれらの時計とそのコレクター性を理解するために必要不可欠な情報であり、資料である。また、『Vintage Military Wristwatches』の後半にはさまざまな国やその支部の軍規格に関する資料が掲載されている。このような一次資料を入手することは、現在では極めて困難である。資料やスキャンの一部には、読者が目にしているものを解説する詳細なキャプションがあればいいのにと思う箇所もところどころあるが、こうした資料はコレクターにとってそれだけでも貴重なものだ。

『Vintage Military Wristwatches』はバシャのサイト、Classic Watchで販売されている(199ドル、日本円で約3万円)。

『The Cartier Tank Watch』フランコ・コローニ(Franco Cologni)著
cartier tank watch franco cologni
『The Cartier Tank Watch』の新著は私が期待していたような参考書レベルの資料にはほど遠いが、それでも豊富な画像とともにタンクの概要を説明している。コローニは1998年に『カルティエ 伝説の時計 タンク(原題:Cartier The Tank Watch)』を出版しており、本書はその最新版になる。同著にはカルティエが所蔵するタイムピースや、歴史的なアーカイブの画像が多数掲載されている。ご期待の通り、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、ダイアナ妃(Princess Diana)、モハメド・アリ(Mohammad Ali)、ゲイリー・クーパー(Gary Cooper)など、多くの著名人がタンクを着用している写真も収められている。それらのなかには見たことのある写真もあれば、見たことのない写真もある。

franco cologni cartier tank watch 2023
 カルティエがこのような形でアーカイブにアクセスできるようにしたことから、ブランド側がこの本の内容に関与していることは明らかだ。時にフランコ・コローニのタンクはカルティエ タンクのマーケティング活動のように感じられることもあるが、広告だとしてもモデルの歴史的背景を紹介するような内容であるため、気にする必要はないだろう。とはいえ新型のタンク フランセーズが裏表紙を飾り、巻末にはそのマーケティングキャンペーンが10ページにわたって取り上げられている。私はタンク フランセーズが嫌いなわけではないし、カルティエにとって非常に重要な商業モデルであることに変わりはない。しかし、この点は特に強引な印象を与える。とはいえ、この本の残りの部分を考えれば小さな対価だ。200ページを超えるページのほとんどは、タンクに関する興味深い歴史や事実で埋め尽くされている。もっと詳しく知りたいと思う部分もあったが、それにもまして勉強になった。

ブライトリング アベンジャークロノグラフ、GMT、自動巻きモデル。

ブライトリングは、パイロットからインスピレーションを得たアベンジャーウォッチコレクションをアップデートした。2000年代初頭に誕生したアベンジャーコレクションがこの度、サイズダウンしてシンプルになり、洗練されて帰ってきたのだ。コレクションには、オートマチック 42、GMT 44、B01 クロノグラフ 44で展開し、クロノグラフにはブライトリング社製のCal.01を搭載している。

ブライトリング アベンジャー B01 クロノグラフ
アベンジャー B01 クロノグラフ

新しいコレクションは、航空とのつながりが強いアベンジャーの頑丈な仕様を維持しながらも、ブライトリングのカタログで見られるほかのアップデートと一致している。

ブライトリングのほかの多くのコレクションよりも若いアベンジャーは、ブライトリングを作るすべてのものをよりモダンにマッシュアップしたようなものだ。大きくて大胆で、無骨でもあり、航空に触発されたツールという形容詞がそのまま表れている。

ブライトリング アベンジャー GMT 44
アベンジャー GMT 44

アベンジャーのケース、文字盤、仕様に手を加えたことで、このモデルはより合理的で現代的なものとなった。大きな翼のブライトリングロゴとアラビア数字は消え、シンプルなステンシルの“B”とバトンインデックスに変わった。GMTモデルとクロノグラフモデルのステンレススティールケースは44mm、3針のオートマチックは42mmで展開。いずれも以前のコレクションに比べてサイズダウンしている。さらにラグに面取りを施し、回転ベゼルのタブにポリッシュ仕上げのディテールを施すなど、ケースのディテールと仕上げをさらに向上させている。

ブライトリング アベンジャー オートマチック
アベンジャーコレクションには航空から得たインスピレーションが随所に盛り込まれており、クロノグラフはコレクションのなかで最も重要なモデルであり続けている。アップデートされたアベンジャー B01 クロノグラフ 44のサイズは44mm径×15.2mm厚(ラグからラグまでは53mm)で、自社製Cal.B01は約70時間パワーリザーブを誇る、COSC認定のコラムホイール式垂直クラッチムーブメントとなった。このマニュファクチュールムーブメント、アベンジャークロノグラフの技術的な飛躍を表していると言えよう。誰もが使える大ぶり時計ではないが、それは私たちがブライトリングに期待していることであり、求めていることでもある。そしてカタログのほかのコレクションではサイズダウンされた製品が提供されているため、アベンジャーの本来の目的は維持されている。アベンジャー クロノグラフ 44には、SS製のブレスレットまたはミリタリーレザーストラップと、ブルー、グリーン、ブラック、サンドの4色の文字を用意。ストラップの場合、希望小売価格は103万9500円(税込)となっている。

我々の考え
ブライトリング アベンジャー B01 クロノグラフ
アベンジャー B01 クロノグラフ

ブライトリング アベンジャー B01 クロノグラフ ナイト ミッション
ブライトリング アベンジャー B01 クロノグラフ ナイト ミッション
 SS製クロノグラフと並んで、ブライトリングは同じ仕様ながら、ブラックセラミックのベゼル&ケース、ブラックまたはイエローの文字盤を備えた“ナイト ミッション”モデルも同時に発表した(リューズとプッシャーはチタン製!)。そしてナイト ミッションクロノグラフの希望小売価格は、123万7500円(税込)~だ。

ブライトリング アベンジャー GMT 44
44mm径×12mm厚(ラグからラグまでは53mm)サイズのアベンジャー GMT 44は、ETAベースのブライトリングCal.32を搭載し、COSC認定、約42時間パワーリザーブ、独立して調整可能な24時間針(調整可能なのは時針ではなく24時間針なので、同僚のステイシー用語では“コーラーGMT”)を備える。アベンジャー GMTには両方向回転ベゼルがあり、ブライトリングの特徴である“ライダータブ”が方位によってひと目でわかるように付いている。ブラックまたはブルーの文字盤、ストラップまたはブレスレットが付属し、価格はストラップ付きで69万8500円(税込)だ。

ブライトリング アベンジャー オートマチック
最後に、アベンジャー オートマチック 42は、ブライトリングのCOSC認定Cal.17(ETA Cal.2824-2ベース)を搭載したコレクションの新しい3針&日付モデルだ。サイズは42mm径×12.1mm厚(ラグからラグまでは51mm)で、アベンジャーシリーズの複雑な構成モデルよりかはサイズダウンされているが、GMTよりかは少し厚い。逆回転防止ベゼルを備え、グリーン、ブラック、またはブルーの文字盤から選べる。ブレスレット、ストラップはそれぞれ64万3500円、59万9500円(ともに税込)から。

アベンジャーの新モデルは、時代を感じさせていたコレクションを洗練させるという、必要なアップデートを加えた。特にクロノグラフがブライトリング製のB01クロノグラフキャリバーを使用していることを考えると、価格は妥当なところだろう。

ブライトリング アベンジャー B01 クロノグラフ 44。44mm径×15.2mm厚(ラグからラグまでは53mm)、300m防水。COSC認定の自動巻きコラムホイール式垂直クラッチクロノグラフムーブメント、ブライトリングCal.01搭載。振動数は2万8800振動/時、約70時間パワーリザーブ。ブラック、ブルー、グリーン、サンド文字盤の4種。SS製ブレスレットまたはミリタリーレザーストラップ。ストラップ付きは103万9500円、ブレスレット付きは110万円。アベンジャー B01 クロノグラフ 44 ナイト ミッションも同じ仕様だが、ケースはブラックセラミック、文字盤はブラック、イエローで展開。ブラックが126万5000円、イエローが123万7500円(すべて税込)。

ブライトリング アベンジャー オートマチック GMT 44。44mm径×12mm厚(ラグからラグまでは53mm)、300m防水。COSC認定の自動巻きCal.32を搭載。振動数は2万8800振動/時、約42時間パワーリザーブ。両方向回転式24時間ベゼル。ブラック、ブルー文字盤の2種。ストラップ付きは69万8500円、ブレスレット付きは73万7000円(ともに税込)。

ブライトリング アベンジャー オートマチック 42。42mm径×12.1mm厚(ラグからラグまでは51mm)、300m防水。COSC認定の自動巻きCal.17を搭載。振動数は2万8800振動/時、約38時間パワーリザーブ。逆回転防止ベゼル。ブラック、ブルー、グリーン文字盤の3種。ストラップ付きは59万9500円、ブレスレット付きは64万3500円(ともに税込)。

関連商品:https://www.yokowatch.com/Breitling-Watch.html

ユーティリティ

2025年12月

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着画像

Feed